2009年2月11日水曜日

覚えにくい条文~国税徴収法第22条~

重要な条文のようですが、ちょっと暗記がしにくいと感じられる条文です。

(担保権付財産が譲渡された場合の国税の徴収)
第二十二条  納税者が他に国税に充てるべき十分な財産がない場合において、その者がその国税の法定納期限等後に登記した質権又は抵当権を設定した財産を譲渡したときは、納税者の財産につき滞納処分を執行してもなおその国税に不足すると認められるときに限り、その国税は、その質権者又は抵当権者から、これらの者がその譲渡に係る財産の強制換価手続において、その質権又は抵当権によつて担保される債権につき配当を受けるべき金額のうちから徴収することができる。
2  前項の規定により徴収することができる金額は、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した額をこえることができない。
一  前項の譲渡に係る財産の換価代金から同項に規定する債権が配当を受けるべき金額
二  前号の財産を納税者の財産とみなし、その財産の換価代金につき前項の国税の交付要求があつたものとした場合に同項の債権が配当を受けるべき金額
3  税務署長は、第一項の規定により国税を徴収するため、同項の質権者又は抵当権者に代位してその質権又は抵当権を実行することができる。
4  税務署長は、第一項の規定により国税を徴収しようとするときは、その旨を質権者又は抵当権者に通知しなければならない。
5  税務署長は、第一項の譲渡に係る財産につき強制換価手続が行われた場合には、同項の規定により徴収することができる金額の国税につき、執行機関に対し、交付要求をすることができる。

特に第一項が覚えにくいのですが、「納税者」がいったい誰を指しているのかという点を念頭に置いて、理解しておかないと難しい感じがします。
また、この一項は条文自体も結構長いので、<要件>と<効果>に分けてみた方がいいのではないでしょうか。

例えば、こんな感じです。

<要件1>
納税者が他に国税に充てるべき十分な財産がない場合において、その者がその国税の法定納期限等後に登記した質権又は抵当権を設定した財産を譲渡したときは、

<要件2>
納税者の財産につき滞納処分を執行してもなおその国税に不足すると認められるときに限り、

<効果>
その財産を譲渡した者の国税は、その質権者又は抵当権者から、これらの者がその譲渡に係る財産の強制換価手続において、その質権又は抵当権によつて担保される債権につき配当を受けるべき金額のうちから徴収することができる。

TACや大原から国税徴収法の理論の書籍も出ていますが、場合によっては、それでも自分には合っていないように感じられる部分も出てくるようですので、その場合は独自に文字を加えたり、文章の順序を入れ替えたり、表現を工夫するなり、そんなことをすることも重要な気がしています。


ただし、留置権のところでも書きましたが、微妙な表現そのものが、法律の要件に係わってくるところもあるように思いますので、出来るだけ条文に近い表現を心掛けた方が安全かとは思っています。

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